コロナショックによりREITも値下がりしています。分野によって序列がついており、物流REITは堅調、レジはちょい下げ、商業は結構下げ、ホテルREITは絶望的に下がっております。
そこで森REITシリーズの森トラストホテルリートに注目してみます。
実は今期分配金が未定で、5月中に発表されることとなっています。なので前期実績である3563円を基準にして利回りが表示されています。7.6%です。
今期は3月からなので、まさしくコロナショックが直撃する期間となりますから、甚大な影響が出るのは自明です。そこで影響を試算しました。
サンルート新宿については固定賃料ですが、ヒルトン小田原などは100%の変動賃料です。ほかは通常時の半額程度の最低賃料が定められています。そこでヒルトン小田原については前期の30%として、ほかは最低賃料で予想賃料を求めました。
すると昨年8月期ベースで計算すると以下のようになり、これは前年比60%です。(前期ベースだと59%)
物件 | 6か月固定 | 6か月変動実績 | 12か月最低 | 6か月期待賃料 |
シャングリラ | – | 886,000,000 | 882,700,000 | 441,350,000 |
ヒルトン小田原 | – | 203,000,000 | 0 | 60,900,000 |
コートヤード東京 | – | 422,000,000 | 310,000,000 | 155,000,000 |
コートヤード大阪 | – | 395,000,000 | 460,000,000 | 230,000,000 |
サンルート新宿 | 652,000,000 | – | – | 652,000,000 |
60%がそのまま分配金に影響すると仮定すると2144円となり、本日の投資口価格93800円での利回りは4.45%となります。年初の利回りは4.47%なので、それよりも買われていることになります。他の森兄弟と星野リゾートの年初利回りは以下の通り。星野リゾートについては、変動賃料が34.7%なのでそのまま修正しました。
銘柄 | 年初利回り | 現在利回り | 修正利回り | 分配金変化 |
森ヒルズリート | 3.18% | 4.12% | 不明 | |
森トラスト総合リート | 3.81% | 5.96% | 不明 | |
森トラストホテル | 4.47% | 7.60% | 4.45% | 未発表 |
星野リゾートREIT | 4.68% | 6.64% | 4.34% | 未発表 |
森トラストホテルも星野リゾートも、想定される減配を織り込ませると年初利回りと同水準の値付けとなっています。一方で変動賃料のない森ヒルズ森トラスト総合両リートは3割~5割以上の利回り上昇になるほど売られています。オフィス賃料は景気後退期に3割くらいは下がるものなので、この現象は妥当なものと思いますが、ホテルについてはあと1,2ポイント利回り上昇してもいいんではないかと思います。
というわけで、今月末には2割くらいの投資口価格下落が発生するのではないかと予想しておきます。
(2020/05/26追記)
緊急事態宣言解除を好感してかホテルREIT価格が上昇中です。
今日の森トラストホテルは100,400円、利回り7.1%になりました。予想外の上昇ですが、改めて今期の分配金を試算してみました。
変動賃料をゼロと仮定すると収益は-40%となりますが、経費については変動しないと仮定した場合、経常利益は-60%となります。もし分配金が-60%になった場合、現在の投資口価格だと利回りは2.9%です。さすがに買われ過ぎなのではないですかね。
ちなみに投資法人みらいは4月21日に公表した5月~10月期の業績予想において、ホテルの変動賃料が発生しないものとした数値を公表してます。
とここまで書いて、ポートフォリオデータを見たところ、変動賃料は大体3ヶ月前の実績に対してかかってくるので、今期の業績にピッタリ合うわけではないのですね。うーん、これじゃあ大して減額されないかも。収益が-20%に留まれば、利回り5.0%相当となり、まあ妥当な感じになります。困ったな。
(2020/05/29追記)
修正出ました。収益は-27%、分配金は-46%の1727円となりました。本日の終値102,100円で換算すると、年利回りは3.4%です。さあ、来週の投資口価格に注目です。
(2020/06/07追記)
結局投資口価格は下がらず、107,700円に。全部織り込み済みという結果でした。
残念。